秘密のマッサージ

大学のかたすみで、ひっそりとマッサージを受ける。
氷雨の降る早朝に家を出て、どなったり歌ったり歩き回ったりの授業をした後の至福のとき
がちがちに痛んでいた腕と首と肩をほぐしてもらいながら、点字図書館業界の話をいろいろ聞いた。
マッサージ師さん(60代ぐらいの女性)はフランス小説が大好きで、図書館から借りては読みまくっているそうだ。
「読む」っていってるから最初は点字で読んでるのかと思ったら、ほとんど朗読テープを聞いているとか。
他に批評でもエッセイでも読みたいものがあれば対面朗読で読んでもらって、じゃんじゃん録音してしまうのだとか。
その方は一度引退して地方に戻っていたそうだが、地方の図書館の人は東京に比べて朗読が断然下手だと厳しいことをいっていた。
地方の世間の狭さにうんざりしていた彼女には、変な患者が多い大学での仕事はとても楽しいらしい。

整形外科では関節の炎症といわれたけど、関節というより三角筋がひどく疲労しているように思うといわれる。
重いものを持つなといわれるまでもなく、昨日はリュックで出勤したし、出先で本を買うのも借りるのも一回の冊数をかぎっているし、重い本は借りない。
食料の買い物は出かけたついでにはしないで、いったん帰宅してから身軽で出直すから手間もかかるのだ。
それにタートルネックのセーターを肘と胸の下でちょん切ったものをパジャマの上から着て寝ている(肩と腕を冷やさないためにはいいです。意外と見苦しくもない)。

授業のことだけれど、いいかげん持てる力の7、8割で授業をする技術は身につかないものだろうか。
いつも150パーセントぐらいでやってるので、たった2コマなのに終わると喉は痛いし体はへとへとだ。
大学院ではクイア理論の授業に出てみて、とても魅力的な、たぶん私よりだいぶ年下の先生だったけれど、やっぱり200パーセントぐらい気合が入りすぎていたように思う。
ゆるーい感じのおじさん(のいい部分)を少し見習いたい。