遊就館訪問

何の因果か、つき合いで遊就館を見学。
法政大学の裏手を歩いていたら異様に立派な和風の塀が現れて、これは何かの新興宗教の施設だろうかといぶかっていたら、靖国神社の裏門に出たのである。
この施設は見ておいたほうがいいという意見も一度ならず聞いたことがあったので、誘われるままに入ったのだが、やはり気分が悪くなってしまった。
髪の毛を細い三つ編みにして紐状にし「必沈」の字を表した、血染めの日章旗。血が飛び散った阿南将軍の遺詠。
人間魚雷・回天の鉄のかたまりにも、貧血が起きた。
日露戦争から満州事変にかけての解説では、世界中がいかに日本の軍事力を恐れていたかをとうとうと紹介する。
もらった資料を引用:「近代国家成立のため、我が国の自存自衛のため、更に世界史的に視れば、皮膚の色とは関係のない自由で平等な世界を達成するため、避け得なかった多くの戦いがありました」。
…………。
ここが「不戦の誓い」を促す施設のようには、私には到底見えない。
特別展ではパラオを特集していた。
日系のナカムラ・クニオ初代大統領が、日本による植民地化がいかにパラオに貢献したかを延々ビデオで語っている。
この人のことは調べたことがあるのだが(何で?)、パラオがドイツの統治領から日本の植民地になった直後に伊勢からやってきた宮大工とパラオのある部族の首長の娘との間に生まれ、ハワイ大学を出て長年教師をやっていた人である。
日本、台湾、アメリカとの距離のとり方が戦略的で、政治家としてはかなりやり手だと思う。
国家元首では唯一、「作る会」の会員でもある。

植民地化のせいで、パラオ語(ベラウ語)には日本語から入ったことばが500語ぐらいあるという。
ビールを飲むことは「ツカレナオス」。
美味しいは「アジダイジョウブ」(最近は「オイシイ」ともいうとか)。
…などと面白がってばかりいることでもないんだけど。
でもおかげで昨夜は夢見が悪かったので、ツカレナオしたい気分だ。