「病弱な女は死なない」 by ガルシア=マルケス

世界最高齢者がまた日本人女性になった。皆川ヨ子(よね)さん、114歳。
タイトルは『コレラの時代の愛』のなかのフレーズ。
我がことを思い、暗澹たる気持ちとなる。
でも100歳を超える長寿の人で、体が弱かったという話は聞かないな。
南方出身で粗食で働き者の人が多い。
120歳を超えたという人は、10年ぐらい前に世界最高齢だったフランスのジャンヌ・カルマンさんしか記憶にない。
90を超えて自転車に乗っていたという。
確かアルルの画材屋の娘で、「(店の客だった)ゴッホはいつも酒臭かった」とコメントしてた!
だってゴッホですよ、ゴッホ
そういう、一人間にしては途方もない歴史を帯びた生を見せつけられたりすると感銘を受けるが、日本の最高齢者にその種の感銘を受けたことはない。
100歳とまでは行かなかったが、生前の淀川長治さんにアンナ・パヴロワの日本公演(大正何年か)についてうかがった時のこと。
その時にパヴロワが踊った「トンボ」という演目、着ていた薄物の衣装、振り付け、それを見た夜、家でその舞台を自ら再現したこと……詳細な記憶を元に話してくださって、こちらも大正時代のその光景に立ち会っているようだった。
同じ舞台を見た、淀川さんより10歳年長の武原はんさんにも印象をうかがったら「昔のことだから何も覚えてませんよ」と言われたけれど、それは無理もないことだろう。
淀川さんがすごすぎるのである。ほんと、すばらしい。