ペコちゃん焼き終了

神楽坂下に不二家の小さい店があって、ここは独自にペコちゃん焼きを売っていることで有名だった。
いつも行列ができていて、私は並ぶほどではないけれど、それでも一、二度、お土産などで食べたこともある。
鯛焼きみたいな皮がペコちゃんの顔をしていて、中にクリームなどが入っているのだが、何しろ皮だから目玉とかがきちんと描けない分、その顔はかなり怖くてキモかわいい、というより、かわいキモかった。
例の賞味期限事件で、この店も一時休業に追い込まれる。
とはいえこの店、名前こそ「不二家」でも、不二家の工場とはいっさい関係なく自前で材料を調達してペコちゃん焼きを作っていたから、先々週ぐらいに一度は店を再開した。
だが、1月15日の社長会見を見た店主は、企業コンプライアンスのあまりの低さに怒りを感じて、完全に店をやめてしまったそうだ。
前に東横インの建築基準が問題になった時、会見に出てきた社長がまるで企業コンプライアンスとか理解してない商店街のおっさん風で、やっぱり小さい規模からあまりに急にのし上がるとダメなのかなーなどと感想をもったが、ペコちゃん焼きのこの店主とあのどうにも頼りない不二家の社長の違いに考えを改めた。
そういえば東横インは、問題発覚前以上に活気を取り戻しているな。
巴有吾有の閉店といい、ペコちゃん焼きといい、神楽坂下ならではの店が消えてゆく。
買わなかったくせに、今になってペコちゃん焼きが食べたい。
その代わり最近はドラマ「拝啓、父上様」のせいで、坂全体に森山良子の「パピエ」が流れてる。
この前つい見てしまったら、黒木メイサが謎のフランス人少女を演じていた。
りんごを落として、坂にころころ転がってしまうと、板前の二宮和也が拾ってくれるのだ。
メイサ:メルシー、メルシーボクー。
二宮:どこへ行くの?
メイサ:ラバ、オー・コンビニ。
日本に住んでいながら「ありがとう」すら日本語で言わないメイサ。
しかも二宮くんが話す日本語は、なぜかすべて完全に理解している。
どういう根性してるんだ?