ジダンマテラッツィ両者の処分がFIFAにより決定される。私の周りは移民のことやマグレブのことに詳しい人が多いので、あれ以来この件についてはいろいろ聞いた。
その中でおかしかったのは、アルジェリア人というのは喧嘩をするとき頭突きをするものだ、という話。別の知人に話したら、違うよ〜、あれはマルセイユ気質。マルセイユ人は喧嘩のとき、頭突きをするんだという。そんな一般化できることなのか??それって、日本人は自殺するときは普通切腹をするものだというような感じではないか。
問題発言のお母さん、マリカさんを「ジネディーヌ・マリカ」と紹介しているサイトがあって、今までジダンが苗字と信じてきた常識が崩れ去った思いがしたが、マリカ・ジダンが正解と聞きほっとする。アフリカ系は苗字と名前の関係が複雑だから(センベーヌ・ウスマンはウスマンが名前とか)。ディーヌとつくのは「宗教の」という意味で、アルジェリアファーストネームに多いと後輩から教わった。
リヨンやマルセイユの移民地区の貧しさは半端ではなく、8歳、9歳から売春をしたり、お兄さんが盗んできたお金で家族が食べているということが珍しくないという深刻な状況にあるとも聞く。
「お前の母ちゃん、売春婦」という悪口をイタリアでは兄弟喧嘩でよく使っているというナンセンスには笑った。それにしてもこの「母ちゃん」信仰にはうんざりする。「お前の父ちゃん、オカマ野郎」とかのヴァージョンがあってもいいではないか。
私を含め、私の周りの人々はほとんど親ジダンだが、処分を受けるのは当然だと思う。それから逆説的だけれど、テレビに出てあまり格好のよくない釈明をしたのは個人的に好感をもった。こういうとき、一流の男は「黙して語らず」を決め込むものだから、きっとそうするんだろうと思っていた。そういう態度って自分はかっこいいけど、結局のところ相手を馬鹿に見せるところが嫌味で傲慢に思えることがある。徹底してスタイリッシュなセルフ・イメージに拘るのなんかつまらない。