ル・クレジオ講演

一橋大学ル・クレジオの講演。先週の外語大のシンポジウムは300人を超える大規模なものだったそうだが、今日の会はあまり宣伝もされてないから狙い目、と思ったわりには、立ち見で大盛況だった。
ル・クレジオ氏は1940年生まれだから65歳になっているはずなのに、50代にしか見えない。若々しい。メキシコ暮らしを経て、今はニューメキシコに住んでいるそうだ。
幼少時の記憶の話。戦時中、外部から完全に隔絶された南仏の村に疎開し、大人たちと刈入れをした幸せな思い出と、ナイジェリアに赴任していた父を訪ねる船旅のつらい思い出。船賃代わりに黒人たちが船体の錆を落としている金槌の音が今もよみがえるという。
戦争などとは違う種類の「暴力」(違う言葉に訳したほうがよかったのではないか?)が必要だという話。たとえばアステカの儀礼は残酷さと優しさの両面をもっている。文学も心地いいだけのものを提供していては意味がない。われわれは「噛みつく」ということをたまには思い出すべきだ…
来る前は39年ぶりに日本を訪ねるのが恐いと思っていたそうだが、今回北海道と沖縄を旅行したことで、また来たい国に変わったといっていた。ちなみに韓国は大好きでしょっちゅう来ていて、今回も韓国経由なのだそうだ。