選挙後

東京都は一議席を除きすべて自公の候補が当選。誰もが勝ち馬に乗ろうとする行動の表れだろうか。地方と自民党との癒着は昔からだが、世界のコスモポリタン東京はいつからこんなに単一で偏狭な都市になってしまったのか。石原都知事の教育の賜物だろうか。
自民296議席、自公327議席。全議席の2/3を超えているから、憲法の改正だって可能だ。うちの甥たちが徴兵され、イラクに行く事態だってこないとはかぎらない。無邪気な感じで「小泉さんならやってくれそう」なんていっている人たちに、自分にそういう事態が起きるかもしれないという危機感はあるんだろうか。
首相は郵政法案賛成か反対かを問うといって解散総選挙をしたのだから、次の内閣で郵政法案以外のことを決めるときは毎回解散総選挙しろ、と田中康夫が面白いことをいっていた。もともと今回も議会制民主主義のルールに反した選挙だったのだから(それを理解している国民がどれほどいたのだろうか。やはり日本人は細かいことは得意だが抽象的なことは理解できない愚民だというルナンが正しいのだろうか)、年金も靖国憲法改正も、新しいことを決めるたびに選挙してやればいいのだ。
これまでさんざん小泉構造改革だのと煽っておいて、いざ大勝すれば独裁の予感だの危険だの今さら書いているメディアもひどい。閉塞していた自民党を「ぶっ壊す」という掛け声に見事に乗せられたかたちだが、単に自分の怨念を晴らしたいがための破壊(破壊のための破壊)、既成の制度や概念を打破するための破壊、外から新しいものが入ってくるのを阻止する反動としての破壊など全然意味の異なるレベルの行為を一緒くたに誤解して、何かわくわくして激しいもの、盛り上がれるものと歓迎してしまう人々が多すぎる。ぶっ壊す、改革という決まりきったワンフレーズの裏側にいったいどんな内容があるというのだ?