カップル

自殺サイトで出会った女性たちを殺した男のニュース。めったに読まない読売新聞をたまたま目にしたら、見出しにも短い記事にも「独身」という語が何度も使われていて違和感をもった。まるで36にもなって独身だったから犯罪を起こしたかのような書きぶりだ。自分の所帯をもたない人間はそれほど「反社会的」だとでもいうのだろうか。
「おひとりさま」などと取り上げられても、むしろカップル(ファミリー)中心社会の傾向は強まっていると何かの週刊誌に書かれていたけれど、私はしばしばその風潮を実感しているし、居心地悪く思うことが多い。アメリカはその本家本元だが、あちらにいた時代のいたたまれない気分が蘇ってくるのだ。
カップル単位の行動こそ真っ当であり、健康だという集団的な抑圧は苦しい。その空気を避けたいから、ごく若い友人と付き合う方が楽しく感じられるのかもしれない。
身分のない若い男子たちのつらい恋愛話など聞いていると、それはそれで笑うに笑えず、いろいろ考えてしまうことも多いのだが。