7月

不定愁訴がひどい。だけど7月は一年で一番好きな月なので、幸せだなあと思うことにする。暑くむっと湿っていて、植物がどんどん育って、みんながバテている分、相対的に自分が元気だと思える。昔はプールにもよく行った(こんなボツボツな体じゃ今年は水着にもなれないが)。ああ、ずっと7月だったらいいのに。そう思いながら7月の一日一日を大事に生きている。でもどうせすぐ終わってしまうんだろうな。
私がいつかやってみたいと思っていることのひとつに陶芸があるのだが、この前旧友に会ったとき、すでにずっと昔に体験済みだと知らされた。その折、私は大きな陶製のサラダ・サーバーを作り、ピカソ的な絵を施したいと先生に申し出て、早すぎるし窯は小さいのだから迷惑だと諭され、小さな碗を作らされたそうだ。言われてみれば部分的に覚えているような気もする。
別の友人が塩が効いていてスパイシーなオムレツを食べさせてくれた。美味しかったが、その友人は昔、オムレツに塩を入れるなど邪道だとさんざん薀蓄を垂れたのだ。以来、私はその教えを守ってきたというのに、本人はまるで覚えていないという。また別の友人に眉毛だけ描いて授業に出た話をしたら、マスカラもつけずに出歩くなんてと呆れられた。その友人は以前、マスカラをつけている私を、そんな皮膚に悪い、重苦しいものはつけるものではないと批判したことをまったく忘れていた。
人の記憶など当てにならないということに気づいてなかったわけではないけれど・・・