サム・ライミ制作、清水崇監督『The Juon 呪怨』

試写会で観たのだが、ホラー映画に免疫がないので、あまりに怖くてヘトヘトになった。つい頭に細部が甦ってきてしまい、お風呂に長く入っていられない(それにしても試写に来る人というのはあまりにプロ然としていて、おかしい映画でも怖い映画でも悲しい映画でも無反応でスカしている)。
日本でヒットした映画作品をオール白人キャストでリメイクするのは最近よくあることで、この作品もその例に漏れないが、ロケーションはなぜか日本のまま。場所は杉並区の住宅とかなのに、主人公も恋人も関わり合いになる一家もすべてアメリカ人なのが自然でない。そして日本人は英語ぺらぺらの刑事をのぞけば、すべてゾンビの側。
以前、欧米人は主人公が欧米人でない物語に共感したり感情移入したりできないと聞いたが、やはりハリウッドの競争原理にしたがうとはそういうことだろう。そして欧米人の観客をより惹きつけるホラー映画と考えたとき、東京近郊の日本家屋や見慣れない町並みが怖さを倍増させる効果はあるかもしれない。
夫の仕事で右も左もわからない杉並区に住むことになった普通のアメリカ人主婦が、漢字だらけのカップ麺が詰まれたスーパーの棚の前で途方に暮れる感覚は、欧米の観客の恐怖感を準備するにはうってつけのような気もする。
そういえば女の書くものには感情移入できないという男がたくさんいるけれど、それも白人が黒人やアジア人の主人公では乗れないというのと通じるのではないか。