吉田都

スターダンサーズ・バレエ団公演『ジゼル』、神奈川県民ホール
劇場に行くのはいつも寂しさと場違いな気分との戦いなのだが、招待券をいただいたし吉田都なので、横浜まで見に行く。彼女を見るのは、4年ぐらい前のロイヤル・バレエ団アメリカ公演以来。
世代も名前も近いから昔から親しみを感じていたけれど、それだけでなく吉田にはつい見続けてしまうようなオーラがある。アレッサンドラ・フェリ系の叙情的なダンサーだが、軽やかで確かなパの運びなど技術も一流で年齢を感じさせない。クサいマイムばかりで私には退屈きわまりないと思える第一幕も、吉田演じる狂女ジゼルの不気味な笑顔で引き締まった。小山恵美のミルタは動きに柔らかさがなくひどい。小山は踊るならチューダーやフォーサイスなどモダンのレパートリーだけにしたほうがいいのではないか。
ホールの向かいは山下公園。日没前の空が部分的に真珠母色になっているのがきれいだった。ガラス越しにばら色の渡り廊下が見える県民ホールの外観に見覚えがあるなと思ったが、高二のとき音楽部の全国大会でここに来たのだと思い出した。今からどれだけ昔のことなのだ…