またアニー・エルノー

『ある女』堀茂樹訳、早川書房、1993(1987)

続けてアニー・エルノー。自伝的素材をかなり取り入れたという母親についての物語。ブルデューを引き合いに出さないまでも、労働者階級出身である母親の、インテリ階級に「上昇」を果たした娘の眼を通しての描写が面白い。言い回し、しぐさ、思い込み…。それを刷り込まれつつ違う世界に生きる娘。結構、身につまされる。