ハマムの代償

ハマムへ行き、ゴマージュなるものを生まれて初めて受けたら、ふくらはぎや腰周りの皮膚が赤剥けになってしまったのが、最近になりようやく元の状態に戻った。
「初めてなの? 怖がらなくていいよ、お嬢さん(!)」と言われ、何台か並ぶ台のひとつに寝かされ、鮫肌のようなざらざらしたミトンでかなり荒っぽく全身を擦られた。
美容目的の女性客でいっぱいだったし、実際すっきりしたが、やはり日本人女性の繊細なお肌にはきつすぎるらしい。

肝心のハマムは、美しい青いタイル貼りの薄暗い空間にユーカリの熱い蒸気が立ち込めていて、とても気持ちがよい。
喘息や風邪の時はすごく効果があるのではないかと思った。
サヴォン・ノワールと呼ばれる、オリーヴで作った黒い糊状の石鹸もお肌によさそうでよい。
ハマムから上がるとバスローブを着け、薄暗いいい香りの部屋で、甘いモロッコのお菓子と甘いミントティーをいただく。

高級エステ風のハマムもあるらしいけれど、19区のここは手ごろな価格で気軽に来られるので人気。
ただ従業員への搾取が表面化したり、問題もある店だと知った。
搾取問題はすでに解決したのか、それともあまり気にしていないのか、こちらが連れと台の上でなすがままの間、擦っているおばちゃん同士、アラビア語で陽気におしゃべりしていて楽しそうだった。

その日のうちにふくらはぎや腿がひりひりしてきて焦り、あわてて買ったクラランスの「クレーム・ジュネス・デ・ピエ」というのはよく考えたら(考えないでも)「脚」ではなく先端の「足」用のもので、こんなことでフランス語教師が務まるのかと反省したが、アーモンドのオイルやシア・バターが入っているので保湿効果が高く、赤剥け肌の回復にはとても役立った。

これで懲りてもう行きたくないかというと、あの空間じたいはとても気持ちよく気に入ったので、機会があればまた行ってしまうと思う。