口笛の特訓、図書館地獄

あまりにピリピリ緊張気味でいたところ、テレビで口笛のうまい何とかさんが見事な演奏を披露していたので、私も試しに練習してみる。
なかなかイケる。
うまく吹くコツとして、舌を歯の裏で上げ、口の中の空間を狭くすれば高音が出しやすく、逆に下げれば低音が出るのだそうだ。
高音はうまく行かないけど、低音は確かにそうやると効果がある。
レパートリーとして、ジョアン・ジルベルトの『アカプルコ』、アンリ・サルヴァドールの『イタリー』を特訓。
しばらく吹きまくっていたら、夜中にうなされ起き抜けはすごい浮腫んだ顔だったのに、あっという間にきりっと締まった。
小顔効果にいいわ、これ。
うまくなったら人に聞かせたいけど、顔が面白すぎるのが問題。

図書館というのは用事を済ませても済ませても、翌日にはまた用事ができてしまうのはどうしたものか。
図書館地獄だ。
頼んでおいた文献複写、いつもながらほんとにいろんなところからやってくる。
今日のは静岡大に、千葉にあるジェトロのアジ研。
こんなマイナー雑誌がよくも日本にあったものとも感心する。
図書館の帰り、珍しく渋谷まで歩く。
爆発した温泉施設、事故以来初めて前を通ったけれど、ふと気づけばここは東電OLが殺されるまで客引きをしていた道と接する地点なんだな。
松涛といえば高級に聞こえるが、隣接するのは円山町。
この町の謂れについては佐野眞一のルポで読んだ。
マイナスな空気が溜まりやすい場所というのは確かにある(norah式風水)。

猛スピードで図書館の用事を5つぐらい済ませて、猛スピードで列車の切符を買いに行く。
ようやくすべての用事を済ませ、ぼやっとセンター街を歩いていて気がついた。
それほど遠くもない昔、センター街をぼやっとなんか歩けなかったこと。
神経をはりつめて、ガードを固めて、「今待ち合わせに急いでるんですから!」とのメッセージを全身から発散して、早足でずんずん歩いたものだ。
そうしないと一瞬の間に怪しげな勧誘男かナンパ男がつけ込んでくるから。
今なんか散歩気分でぜんぜん安全に歩けるよなー、結構、結構。

もう11月。
ふり返るとこの10月は盛り上がって生きている実感があり、いい月だった。
失敗談の一部を面白おかしく友人に話していたら、よくそんなつらい研究生活を続けていると同情される。
それから7月、8月頃はあまりに腕が痛すぎつらすぎ、日々刹那を生きていて、今回想してみるとひどくおかしい。
足の指に筆ペンをはさんで漢字練習していた姿など思い出すと、笑いなくしてはいられない。