企画:フランス語圏カリブ映画祭

『ボルベール』を再び見る。やっぱりあの歌の場面いい。
コリーヌ・セローの『サン・ジャックへの道』を見る。
フランス側からピレネーを越え、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラに向かう道の風景を見たかったから。
もっとドキュメンタリー映画っぽい作りで見られたらよかったが、コリーヌ・セローなのだからしょうがない。
原題はSaint Jacques, La Mecqueという風に韻を踏んでいて、これが示す通り、巡礼の一団のなかにはサン・ジャック(サンティアゴ)をイスラム教のメッカだと思い込んでいる、ちょっと頭のねじが一本抜けたアラブ系の男の子も混じっている。
字が読めないことを思い悩む彼をめぐる物語は泣ける。

それとは別にセザール・パエスの『アワラ・スープ』(Le Bouillon d'Awara, 95,フランス)という仏領ギュイアンヌを舞台にしたドキュメンタリー映画を見たら、とても魅力的だった。
アワラとは強烈な黄色の実をもつ植物で、これに他のいろいろな材料を合わせて煮込んだスープが現地の名物。
興味をそそるこのごった煮と、登場するさまざまな出自、さまざまな言語の住民たちが重なってくる。
グアドループの山の中でギュイアンヌから来たカップルと夕飯を食べたことを思い出すなあ。
二人とももともとピエ・ノワールの家系で南米に移住してきたとのこと。
「何てかっこいいの!」というと「トーキョー生まれで先祖はキョートなんて、その方が全然かっこいい」といわれ、シックだ、シックだと相手をひとしきり羨ましがりあった。
向こうの方が絶対かっこいいよね。

それはともかく、こういう私好みの素敵な映画があるとなれば、ちょっとしたフランス語圏カリブ映画祭のプログラムが組めると思った。
・まずはこの地域の映画といったら『マルチニックの少年』。誰にもわかりやすく、マラヴォワの音楽もよく、完成度も高い。
・『アワラ・スープ』
マチュー・カソヴィッツ監修の『ネグ・マウォン』。現代の少年たちを扱った問題作で、これも完成度高い。
・『ビギン』。完成度はともかく、ベレのダンスやビギンの歌の場面は貴重。シャモワゾーのシナリオだし。
・ ユーザン・パルシーの『マルチニック…』以外のドキュメンタリーなど。
字幕つけますから、誰かやらせてくれないかなー。