グリッサン

数日前、TV5でやったエドゥアール・グリッサンのインタビュー・ビデオを観た。自分の場合、レシ(物語内容)よりまず詩が文学の核にあるという話、カリブ海の人間には、記憶はプルーストのようにカテドラルを築くようには行かず、川の支流をつかんでいくようなものだという話など面白かったのだが、一番印象的だったのは、生後一ヶ月のとき家族とした旅行を覚えているという話だった。生まれたのは大西洋岸のサント・マリーで、そこから内陸経由でラマンタンまで行ったという。砂糖黍畑とモルヌ(丘)が続くその道を私も乗り合いバスで走った。1920年代終わりにグリッサンはどんな乗り物で、どんなスピードであの景色を見たのだろうか。