阿部榮四郎

島根県八束郡八雲村の山間にある阿部榮四郎記念館に行く。山とコスモス畑のなかの小さな建物だが、温かみのある雁皮紙のコレクションが面白かった。特に紙でつくった衣類。前庭には阿部が紙の原料にした雁皮、三椏(みつまた)、楮(こうぞ)の木が植えられている。棟方志功が版画紙に使い、河井寛次郎バーナード・リーチとも親交のあった昭和初期民芸運動のメンバーとは知らなかった。立派な芸術家のお父さんをもってちょっとつらそうな友人がいるが、その祖父はもっと偉大な人だったんだとも偶然知る。
家族を同伴して心底ぐったりしながら、だめな親をもつのと偉大すぎる親をもつのとどちらがつらいんだろうと考える。