2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

栗田やすお監督『緑玉紳士』

4月中旬公開予定の『緑玉紳士』を試写で観る。アニメーションづいている。これは人形を使ったパペット・アニメーション。「ウォレスとグルミット」がもっと不気味になった世界といおうか。こういうアニメは不気味なほどいい。前にBSで観た、奥歯を擬人化した…

阿部和重『グランド・フィナーレ』講談社、2005年

阿部和重がつまらなかったことはないが、これも面白かった。とはいえあの『シンセミア』を書いた後だというのに、ベテランのテダレの作品という感じがしない。「神町」サーガとか、そういう話は置いておくとして、何というか、これまでの作品・作風への批評…

フランツ・ファノン(つづき)

しかし、ファノンには読むべき点もある。 ●植民地主義は他者の系統立った否定であること、この考えが大文字の〈ニグロ〉や野蛮人を作り、彼らに強い文化的疎外感を強いたということ。「客観性」という暴力。 「植民地支配が求めた総体的な結果は、まさしく現…

フランツ・ファノン『地に呪われたる者』(1961)、鈴木道彦他訳、みすず書房、1996(1968)年

ポストコロニアリズムの文脈では評価の高いファノン。だがやはり、その著作の根底に暴力の肯定があることは致命的だと思う。民族解放のための武力闘争という大義名分のもと、唯一「革命的」な存在である農民がその行使者となるが、そこで暴力の効用は以下の…

Gayatryi Chakravorty Spivak,« La mise en scène du temps dans Heremakhonon »,in Maryse Condé : Une nomade inconvenante, 2002, Ibis Rouge

● スピヴァクの『ヘレマコノン』分析:時間の演出について。アフリカでの現在に混じってくるアンティルでの過去の時間だけでなく、くり返される「九年」という言葉。「介入してくるこの時間は物語世界の時間ではない。くり返されるこれらの中断(訳注「九年」…

Maryse Condé, En attendant le bonheur (Heremakhonon) (1976), Robert Laffont, 1997

マリーズ・コンデの長編第一作。1962年、ギニアのセク・トゥレ社会主義政権下で起きた現実の事件(一党独裁を目ざす政府による学生・教師たちの容赦ないパージ)を題材にしている。コナクリでフランス語教師をしていたコンデは、当時の不穏な政治状況のなか…

フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール『ウィスキー』、シルヴァン・ショメ『ベルヴィル・ランデブー』

『ウィスキー』は日本初公開のウルグアイ映画。東京国際映画祭グランプリ、カンヌでもオリジナル視点賞を取ったそうだ。「南米版カウリスマキ」というコピーに惹かれて試写を観に行ったのだが、カウリスマキよりよかった。 現代とは思えない古ぼけた機械に囲…

ガイドブック

アマゾン・フランスから「ルタール」のガイドブック「マルチニーク、ドミニカ」と「グアドループ」が届く。友人の勧めで買ったのだが、細かい文字での文章が多く、ガイドブックとして読みにくい。地図も少ない。同じアシェット社でも青い表紙の「ギード・ブ…

橋本京子監修「ヨーガスタイル――美しいカラダと元気なココロ」池田書店

というCDブックを買う。 初心者向けのすでに知っているアーサナばかりだが、自己流の適当な順序や呼吸法にならなくてすむので便利。それに最近は、近所のスポーツクラブで週一回あるヨガクラスに人が溢れかえっていて、教えてもらいに行ってもあまり落ち着い…

手紙

昨日から何通もの手紙を書いている。お礼状や寒中見舞いなど、出すべき手紙が溜まっていた。昔は筆まめだったのに、何だか手紙というものから久しく遠のいてしまった。理由はいろいろあると思うけれど、手紙でどきどきするような機会が減ったことが大きいだ…