「ハイチ地震と文学」

最近出た『Résonances』第7号に「ハイチ地震と文学」と題する文章を書いています。
ダッサいことに力およばず、論文ではなく研究ノートなのですが。
ダニー・ラフェリエールやフランケチエンヌの予言的な戯曲について書きました。
よかったらご覧ください。

鉄子の部屋

めったにないことだけど、横浜にある職場から直接帰宅できるときは、東京駅経由で松丸本舗に寄るのが楽しみ。
本を見てくらくら疲れた後は、M&Cカフェに行く。
ひとりで行くのに一番好きな喫茶室だ。
だってこんなすごい景色の店、たぶん他にないでしょ。
いつも窓際に座って、眼下を往来する列車をずっと見ている。
何十番線までもあるうち、七番線分ぐらいの列車の往来が目視できる。
高架の中央線と地上の京浜東北線が上下並んで走ったり、京浜東北線湘南ライナーが並走したり、交差したり、あ、今、どの列車も動いていない、静止のとき、などと思っていると、奥のほうの新幹線がすーっと滑るように走りだしたり。
日が沈むにつれ、往来が加速するように増えていくのも好き。
鉄子」という言葉が流通するようになったのは最近のことだし、特にその自覚もないが、幼少時から電車と駅(名)には異様に燃えていたなあ。

執筆の苦労

この5日ほどで短編執筆。
病のときはわりと雑念少ないから、創作のしどきだなー。
おおむねできたけど、書きたいことと「お題」を結びつけるのは本当にむずかしい。
すごく悩んで苦労している。
力およばないかも。
ナラティヴは本当にむずかしい、構成も本当にむずかしい。
「小説に構成なんかなくていい」などという人は、じっさい作品作り上げたことないんだと思う。

前作「シェルシェール図書館の王太子殿下」、某大学の異文化間コミュニケーションの授業で取り上げられるのだそうです。
やったー、読者数十人ゲット!
しかしどんなふうに教材になるのかな。
わかるような、わからないような……。

大根の力

年末以降、もっとも身近だった食材が大根なのだが、これは煮ものやサラダなどというレベルを超えて奥深い。
とにかく咳がひどいので、大根飴を作り続けていた。
生の大根を2センチ角ぐらいのサイコロ切りにして瓶いっぱいに詰め、上から蜂蜜を注ぐと、数時間後には水がいっぱいに上がってくる。
それを飲むと喉と咳にいい。
もっとも私の場合、喘息がひどくなりすぎて今回は効かなかったが、もう少し軽ければとてもお勧め。
それよりも今回発見したのは、大根飴のシロップをとった後のしなびたサイコロ大根の利用法だ。
もとより蜂蜜の甘みはじゅうぶん吸い込んでいるこれを、水としょうゆ半々にしてさっと煮すると、意外にも美味しい箸やすめになる。

もうひとつは、お料理上手の同僚のところで教わった干し大根である。
薄い輪切りにした大根をザルに並べ、ベランダなど天日で干す。
2日ぐらい干すと水気が抜けて、全然別のシロモノになり、くるくる丸められるようになる。
厚すぎると丸まらず、薄すぎると干からびるので、厚さ1ミリから1,5ミリぐらいがちょうどいい感じ。
そこに柚子の細切りを数本はさんで巻き、甘酢に漬ける。
これがあっさりさわやかで大変美味しく、日本酒がいくらでも飲める。
ワインも合うかもしれない。

世界で一番人口密度の高い、イスロテ島

年末年始に見たテレビ番組のなかで面白かったのが、カリブ海に浮かぶ小島、イスロテ島(コロンビア)のドキュメンタリー(NHK-BS)。
わずか1001000平方メートルしかない島の上に100世帯ほど、1200人が暮らしている。
したがって島の地面のほとんどが人家で占められており、家から島の別の場所へ出かけるのに、お互い他人の家何軒も自由に抜けてゆく。
他人といっても、ここの島民、もとはひとりの祖先に行き着く親戚同士であるらしい。
素朴な発電機で起こす電気が使えるのは夜だけ。雨水は全員の分まとめて溜めて、一定のお金をとって医療のための基金にする。学校は小学校だけ。子供たちは各家庭で、というより、あっちの家やこっちの家でひとまとめに育つ。
素潜り名人の男たちは、すごい伊勢エビをじゃんじゃん獲る。
近くにもっと広い島もあるが、そこにはものすごく痒くなる蚊が無数にいて、イスロテ島にはいない。
それにしても狭すぎて地面が足りず、漁に行けない日のお父さんの仕事は、海底でサンゴの石をとってきて、少しずつ埋め立てを進めること。

すごい島だ。世の中にはフィクションの世界のような場所が本当にあるのだ。

新年の誓い

年明け早々、新たな風邪をうつされて高熱で動けず、ニューキノロン系(ほぼ抗生物質)のトスフロキサシントシル酸塩という強烈な薬を処方されて朦朧とし、完膚なきまでやられています。
泣きっ面に蜂にブヨにマムシといったところでしょうか。

私がこんなていたらくでいる間、先日祖母が百歳になりました。
一世紀生きても微塵も呆けず、風邪もひかず、毎日台所に立ち、本を読み、短歌を作り続けている。
お祝いに駆けつけたいと思っても、そういうイベントはいらないのだそうです。
ということで祝電を打っておきました。

祖母を見習って、私も今年は(今年も)「体が資本」をモットーにがんばりたいと思います。
いや、「体と(で)共産」という考え方もあるかもしれません。
そっちの方が、2012年にはふさわしいような気がしてきました。

『図書新聞』書評

クリスマスといえばビュッシュ・ド・ノエルということで、今夜は秋田のきりたんぽ鍋。
比内鶏スープがあったまります。

ところで今週号(1月1日号)の『図書新聞』にダニー・ラフェリエールの二冊の翻訳書、『帰還の謎』と『ハイチ震災日記』の書評を書いています。
どうぞご笑覧ください。

この年末はちょっと集中的に書評を書いてみて、書評のサイトなども作ってみようかとか考えていたのですが、体調がガッタガタに崩れてしまい、読むのも書くのもまったくはかどらず状態。
来年のプロジェクトに持ち越しです。